脚注先頭の \ignorespaces

[wryz77]

https://okumuralab.org/tex/mod/forum/discuss.php?d=3925
にも書かせていただきましたが，改めて。

jsclasses では，脚注で \verb を使用可能にしていることの副作用で，脚注先頭に \ignorespaces が挿入されていないような気がします。

\documentclass{jsarticle}
\begin{document}
あ\footnote{あ}\footnote{
  あ}
\end{document}

これについては，\jsc@f@@t の定義に \afterassignment\ignorespaces を入れれば解決するのではないかと思っています。

\def\jsc@f@@t{\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\ignorespaces\let\jsc@next}

[doraTeX]

同じ手法で、脚注冒頭に \inhibitglue を効かせられるようにできると思いました。
脚注冒頭が開き括弧類から始まる場合に、そこに\inhibitglueを効かせることがそもそも組版として正しいのかどうかは分かりませんが、実験してみると上手くいっているように思います。

\def\jsc@f@@t@prefix{\inhibitglue\ignorespaces}
\def\jsc@f@@t{\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\jsc@f@@t@prefix\let\jsc@next}

とすれば、\inhibitglueと \ignorespaces の両方を効かせられました。

実験

\documentclass[dvipdfmx,autodetect-engine]{jsarticle}

\begin{document}

\makeatletter

%%% 現状確認
あいうえお\footnote{現状（改行なし）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
現状（改行あり）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{「現状（改行なし）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
「現状（改行あり）」\verb|\verb動作確認|}

%%% \ignorespaces 挿入
\def\jsc@f@@t{\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\ignorespaces\let\jsc@next}

あいうえお\footnote{実験：ignorespaces挿入（改行なし）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
実験：ignorespaces挿入（改行あり）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{「実験：ignorespaces挿入（改行なし）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
「実験：ignorespaces挿入（改行あり）」\verb|\verb動作確認|}

%%% \inhibitglue 挿入
\def\jsc@f@@t{\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\inhibitglue\let\jsc@next}

あいうえお\footnote{実験：inhibitglue挿入（改行なし）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
実験：inhibitglue挿入（改行あり）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{「実験：inhibitglue挿入（改行なし）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
「実験：inhibitglue挿入（改行あり）」\verb|\verb動作確認|}

%%% \inhibitglue と \ignorespaces の両方挿入
\def\jsc@f@@t@prefix{\inhibitglue\ignorespaces}
\def\jsc@f@@t{\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\jsc@f@@t@prefix\let\jsc@next}

あいうえお\footnote{実験：両方挿入（改行なし）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
実験：両方挿入（改行あり）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{「実験：両方挿入（改行なし）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
「実験：両方挿入（改行あり）」\verb|\verb動作確認|}

\end{document}

結果

[wryz77]

実験ありがとうございますm(_ _)m

jsclasses は \everypar で \inhibitglue 的なことをしていますし，体裁が統一されるという意味で個人的には「アリ」だなと思います。ただ，そうなると \@makecaption など他のところにも入れたくなってくる…なのでこの辺りは好みかなと。

とりあえず，本件の主題に関しては，jsclasses でも他の多くのクラスファイルと同様，脚注の先頭に \ignorespaces がきちんと入っていた方がいいのではないか，以上のことは考えていませんでした。そこから先の「過去の組結果をどこまで保存するか」「自然な組版とは何か」については皆さまそれぞれご意見があることと思います。

[okumuralab]

\ignorespaces や \inhibitglue を入れ忘れてご迷惑をおかけしております。今からでも入れるに一票。

[h-kitagawa]

LuaTeX-ja の ltjsclasses でも，luatexja/luatexja@27b2632 で取り込みました．ありがとうございます．

[k16shikano]

この方法だと、 \footnote 「 のように引数がグループでないケースで \jsc@f@@t を通らないので、インデントが生じてしまうことはないでしょうか？（通常の文章で出てくることはなさそうですが）

ちなみに私は雑にこんな対処をしていたのですが、他の副作用がないかなどはあまり詰めてないです。

\renewcommand\@makefntext[1]{%
  \advance\leftskip 3zw
  \parindent 1zw
  \noindent
  \llap{\@makefnmark\hskip0.3zw}#1\inhibitglue{}}

（ところで、どうしてjsclassesの\jsc@fo@tで「\footnoteの直後がグループでないケース」が想定されているのか、よくわかってないです）

[wryz77]

@k16shikano さん
ありがとうございます。当初 \ignorespaces のことだけ考えていたので頭から抜けていましたが，確かに \footnote「 のようなケースで \inhibitglue を効かせるためには，以下のような対処が必要になると思われます。

案1 \@footnotetext に手を入れる

\long\def\@footnotetext{%
  \insert\footins\bgroup
    \normalfont\footnotesize
    \interlinepenalty\interfootnotelinepenalty
    \splittopskip\footnotesep
    \splitmaxdepth \dp\strutbox \floatingpenalty \@MM
    \hsize\columnwidth \@parboxrestore
    \def\@currentcounter{footnote}%
    \protected@edef\@currentlabel{%
       \csname p@footnote\endcsname\@thefnmark
    }%
    \color@begingroup
      \@makefntext{%
        \rule\z@\footnotesep\jsc@f@@t@prefix}%
      \futurelet\jsc@next\jsc@fo@t}

案2 \jsc@fo@t に手を入れる

\def\jsc@fo@t{\ifcat\bgroup\noexpand\jsc@next \let\jsc@next\jsc@f@@t
                                \else \let\jsc@next\jsc@f@t\fi \jsc@f@@t@prefix\jsc@next}

案3 \jsc@f@t に手を入れる

\def\jsc@f@t#1{\jsc@f@@t@prefix#1\jsc@@foot}

どの場合でも \inhibitglue は効くはずですが，直前に入れている案3が一番安全でしょうか。

以下，私なりの理解になります。jsclasses の脚注，およびそれの基になった TeX and TUG NEWS, Vol. 2, No. 4 (1993) のコードでは，\footnote の中に \verb が入ることを許容するために，\@footnotetext を引数ありの形ではないものに変更しています。ここで，\jsc@f@@t が呼び出される場合の展開の様子について，脚注の直前のみ取り出すと

\footnote{「脚注」}
-> ～省略～\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\jsc@f@@t@prefix\let\jsc@next{「脚注」}

のようになると思っています。つまり，\footnote の直後の { は \jsc@next に \let されることで「吸収」され，その代わりに \bgroup を置くことでグルーピングが対応しています。そして，今回追加された\afterassignment\jsc@f@@t@prefix によって \let\jsc@next{ すなわち「代入」の直後に \jsc@f@@t@prefix が置かれていることになります。

ここで，\jsc@fo@t での場合分けが仮になかったとすると，\footnote の直後に {（正確にはカテゴリーコード1の文字トークン）以外のトークンが来た時に，

\footnote「脚注」
-> ～省略～\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\jsc@f@@t@prefix\let\jsc@next「脚注」

となり，\footnote の直後のトークン 「 が \jsc@next に \let され「吸収」されてしまうことから，\footnote の後に単一のトークンが来ることを考慮して場合分けがなされているのだと思います。

[doraTeX]

@wryz77 さん

確かに，元の案にいずれかの案をプラスすることで，引数がグループでない場合にも対応できることが確認できました。
#80 では案3で加えておきました。

実験

\documentclass[dvipdfmx,autodetect-engine]{jsarticle}

\begin{document}

\makeatletter

%%% 現状確認
あいうえお\footnote{現状（改行なし）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
現状（改行あり）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{「現状（改行なし）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
「現状（改行あり）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote グループなし\par
あいうえお\footnote 「グループなし

%%% 元の改良案
\begingroup
\def\jsc@f@@t@prefix{\inhibitglue\ignorespaces}
\def\jsc@f@@t{\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\jsc@f@@t@prefix\let\jsc@next}

あいうえお\footnote{実験：元の改良案（改行なし）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
実験：元の改良案（改行あり）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{「実験：元の改良案（改行なし）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
「実験：元の改良案（改行あり）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote グループなし\par
あいうえお\footnote 「グループなし %% この場合に効いていない
\endgroup

%%% 元の改良案 + 案3
\begingroup
\def\jsc@f@@t@prefix{\inhibitglue\ignorespaces}
\def\jsc@f@@t{\bgroup\aftergroup\jsc@@foot\afterassignment\jsc@f@@t@prefix\let\jsc@next}
\def\jsc@f@t#1{\jsc@f@@t@prefix#1\jsc@@foot}

あいうえお\footnote{実験：元の改良案＋案3（改行なし）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
実験：元の改良案＋案3（改行あり）\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{「実験：元の改良案＋案3（改行なし）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote{
「実験：元の改良案＋案3（改行あり）」\verb|\verb動作確認|}

あいうえお\footnote グループなし\par
あいうえお\footnote 「グループなし %% この場合にも効くようになる
\endgroup

\end{document}

結果

[wryz77]

皆様ご協力ありがとうございますm(_ _)m
@doraTeX さんが修正してくださったコードで問題がなければここは閉じてよいかなと思いますが，いかがでしょうか？

[aminophen]

#80 マージしました。本日中に CTAN にリリースします。